祭りを支える出合い / 03
柱松をつくる
完成までの半日
祭りのフィナーレを飾る大松明、柱松。旗竿まで含めた高さは約20メートル。柱や大綱、三種の旗などを除き、毎年つくり直します。その大仕事を、祭り当日の半日余りで進めます。
2001年8月15日の記録をもとに構成しています。本文は当時の営みを紹介しています。
製作開始
8月15日、朝から隠殿岡で作業に取りかかります。日暮れには本番が始まるため、のんびりとはしていられません。
主な仕事は、柱の先端に松明となる「ツボキ」をつくること。柱の先を持ち上げて足場を組み、作業しやすく据えます。柱は10メートルを超える杉の丸太で、それだけでも重さは500キログラムを超えます。
柱松づくりを担うのは、若衆の先輩にあたる中老たち。積み重ねてきた経験を生かし、それぞれの仕事を進めます。


ツヅをつくる
ツボキの首元に付く、鎖のような輪を「ツヅ」と呼びます。細い藤のつるを幾重にも重ね、藤から剥いだ樹皮を巻き付けてつくります。
しなやかで強い藤。その性質を生かした輪を3連につなぎ、柱松を支える大綱へと結びます。身近な材料を生かす知恵が、ここにも息づいています。



ツボキの骨格と三種の旗
竹を編み、すり鉢に似た形のツボキの骨組みをつくります。柱松を立てたあとに固定する支柱も、この場所に備えられています。以前は毎年、杉の杭を人力で打ち込んでいました。
柱には長い竹の旗竿を3本取り付けます。先端を飾るのは、ムカデ、扇、うちわの三種の旗。これらは火祭りの最後にも大切な役割を持ちます。




コモを巻き、シキビを詰める
竹の骨組みに、コモと呼ぶ麦わらの束を結わえます。同時に、ツヅを東・南西・北西の三方へ取り付けます。
ツボキの中には、墓に飾られていたシキビの葉をぎっしり詰め込みます。水分を含むシキビは、松明が勢いよく燃えすぎて柱を焼いてしまわないよう、火の勢いを調整する役割を果たします。
真夏の日差しが照りつける中、最後に首元を縄できれいに巻いて仕上げます。昼も過ぎ、皆お腹が空くころ。休む間もなく、柱松を起こす作業に移ります。


息を合わせ、柱松を起こす
全長約20メートル、総重量は1トン近く。柱松を起こす場面は、一日の中でも特に緊張する時間です。
「ボウズ」と呼ぶ仮柱に掛けたワイヤーと、「大スズ」「小スズ」と呼ぶ二組の又になった丸太を使います。大スズ・小スズが支え、押し上げるのを助けながら、少しずつ立てていきます。
柱松が揺れ、重みを受けるボウズがしなります。傾きを見ながら声を掛け合い、位置と力を合わせます。このときばかりは、厳しい言葉も飛び交います。



完成、そして本番へ
今年も無事、柱松が立ちました。上空で音を立ててはためく旗を見ると、何ともいえない達成感が湧いてきます。
けれど、ゆっくり眺める間もありません。皆で手早く片付けを済ませ、いったん解散。日暮れまで休み、夜は大念仏、そして火祭りの本番を迎えます。

柱松づくりの言葉
- ツボキ
- 柱の先端につくる、松明となる部分。
- ツヅ
- 藤のつると樹皮でつくる輪。鎖状につなぎ、大綱と結ぶ。
- コモ
- ツボキの骨組みに巻く麦わらの束。
- ボウズ
- 柱松を起こす際、ワイヤーを掛ける仮柱。
- 大スズ・小スズ
- 柱松を支え、押し上げるために使う又になった丸太。